【開催報告】高級茶芸師 Full-san と春のお茶会
⑧中国茶部部長の清水です。
2/18にFull-san(ふるはし ゆきまさ)さんとお茶会を行いました。
今回のテーマを「春」として、
清水による「季節によるお茶の違い」と、春らしい爽やかさをもつ「凍頂ウーロン茶」のお点前
2本立てのイベントになりました。
急きょ参加していただいた、お茶会社の社長さんである伊藤社長のおかげで一変!
むっちゃくちゃハイレベルなお茶、およびお茶にまつわる文化の解説になりました。
趣味人と、生まれた時からお茶屋に育った社長。
蓄えている知識・体験のレベルが全然違います。
すごく勉強になりました……
↑今回の茶菓子。蜜なつめ、栗、干しパイナップル、きんかん。
なつめで補血、栗で体力アップ、パイナップルで水分代謝アップ、きんかんでビタミンC補給。
ビスケットはサチコさんからの差し入れ。サクサクでおいしかったです!
☆一番茶とは?
一番茶とは、「その年一番初めに摘んだ茶葉で作ったお茶」のことです。
常緑広葉樹であるチャノキは、冬は活動を停止し、春~秋の間に随時新芽を出して成長しつづけます。
お茶は、チャノキの芽と若葉の部分を収穫して作ります。
日本では、茶摘み歌で有名な「八十八夜」である5月頭に茶摘を開始し、
その後1~2ヶ月おきに年3~4回茶摘を行います。
「昔は保存技術が発達していなかったから、今の時期ぐらいには変質していて、『ひね臭』がしたものです。
だから、フレッシュな新茶を飲むと、『ああ、今年も新茶か……』って、感慨深かったんですよ。」
「昔は4番茶なんてだれも見向きもしなかった。
でも、今は巨大な市場がある。
そうです、ペットボトルの安いお茶。」
と、伊藤社長からお茶屋さんの裏話を聞かせてもらいました。
☆世界のお茶事情
中国が発祥のチャノキは、今や世界中で生産されています。
世界地図を見ながら、主要産地や、世界各国の飲み方について見てみました。
広東語の「チャ」は、シルクロード経由でチベットやモンゴル、中近東に伝わり、「チャイ(インド・トルコ)」「ツァイ(モンゴル)」となります。
福建語の「テ」は、17世紀の大航海時代に欧米に伝わり、「ティー(英)」「テ(イタリア、フランス)」となります。
同じ「チャイ」でも、インドはスパイスとミルクを入れたもの、トルコは濃く煮だしてお湯で薄めるもの、と、
各地で飲み方が異なっているのが面白いですね。
飲み方に関しては、ふるさんも
「各地で水の硬度や純粋さが違い、それによって茶液の出方が変わりますから、
それも影響しているんでしょう。
中国茶の教典でも『用山水上、江水次、井水下。(山の湧水を使うのが最上で、次に川の水、地下水はよくない。)』としています。
川と言っても、大陸の川は日本の急流と違ってゆっくりと流れる大河ですから、水のきれいさは日本のものと同じにしてはいけません。
真水がすぐ飲める日本は、本当に恵まれた国なんです。」
と、言っていました。
☆ニセモノ注意!
最近、欧米で日本食ブームが起こっていて、その一環として緑茶も消費量が伸びています。
緑茶のほうが珍しくて値段が高いので、スリランカなど、今まで紅茶を作っていた農家が紅茶用の茶葉を使って緑茶を作っていると聞きました。
しかし、紅茶向きの品種は渋み成分であるタンニンが多く、「いつもの緑茶」と思って口に含むと、とんでもない違和感を覚えるそうです。
また、最近はやりの抹茶スイーツに関しても、
本物の抹茶は高価で扱いが難しいため、香料や着色料でごまかしている粗悪品が出回っているんだとか。
「弊社経営の『茶縁』では、お茶メーカーが本気を出して作っている抹茶スイーツを堪能できますよ!
ぜひ違いを感じてください。」
と、伊藤社長。
平日でも行列になるという噂のお店です。
これは行かなければ!
☆茶は舌のみで味わうにあらず
最後にふるさんのお点前で、凍頂烏龍を味わいました。
爽やかな甘みと苦味が広がります。
癒される……
粒粒の茶葉が、「ふえるわかめ」のように蓋碗(がいわん)いっぱいに広がっています。
ゆっくりと3杯、味の変化を感じながらいただきました。
中国の国家資格である高級茶芸師の試験では、筆記の他に「茶席を開く」という実技試験もあります。
心地よくリラックスした空間で、茶葉のおいしさを最大限に引き出したお茶をいただく。
そのひと時を創るために、茶人は、集まる人のことを想像し、どういう場にしたいか考え、茶葉を選び、茶器を選び、花を生ける。
「茶席」とは、ただお点前を披露する場だけでなく、空間演出までをさします。
これって、イベント開催にも通じますね。
自分が伝えたいことだけまくし立てるのではなく、参加者をどう巻きこみ、どういう気分・アクションを促すのか……
まだまだ修行が必要です。
☆参加者の声
「初めて聞いたことばかりで新鮮だった。
お茶って身近なようでいて奥深い……」
「『あー、茶芸士さんの本当の仕事って美味しいお茶を淹れることじゃ無く、
⭐️お茶を通して安らぎの場⭐️を作ることなんだなー。』
と初めて気付きました。
いつの時代も場を作る職人さんが求められてるんだなーと新しい気付きをもらいました。」
「花粉症に『べにふうき』茶が効くみたいなので、悩んでいる方にお勧めしたいと思います。」
参加してくれた皆さんに楽しんでいただけて良かったです。
また、つたない内容をサポートしてくださった、ふるさん&伊藤社長、ありがとうございます。
☆次回予告
次回は、少人数で「茶縁さんで絶品抹茶スイーツを食べる会」または、
「茶どころで茶摘体験&茶葉料理の会」を企画しています。
気になる方は、ぜひ中国茶部にご参加ください。
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